前回の続き。
ようやく到着した
アンモナイトセンター。一般的に
「ファッションセンター」とか
「ラジオセンター」とか
「靴流通センター」とか
「平田食事センター」など「センター」と名乗る場所は、総じてあか抜けないイメージ満載で好きなのですが、こちらの福島県いわき市にあるアンモナイトセンターも
案の定で嬉しくなる施設でございました。
とりあえず、
これでも聴きながら読んでくだせぇ。
さて、こちらの建物。
いわき市が誇る、アンモナイトセンターである。

敷地は広いが、建物は微妙にイナバ物置なオーラをまとったこの施設、当初、私は「ったく、また無駄な物を建てて…箱モノ行政ってのは困った物だね」とか考えていたのですが、実際に行ってみると
「もう少しカネ掛けても良かったのでは」と感じるほど、質実剛健・シンプルイズベストな施設でありました。
入場料は大人250円、子ども100円。団体だと
80円になります。
アカン、破綻するヤツや…だっておめぇ、80円って事は、子どもが100人来ても8000円にしかならないわけで、どうやっても赤字にしかならない施設運営ですよ。さらに教育機関の場合は入館料の減免申請が出来るとかで、もう何なんだと。
80円ぐらい払えばエエやないか。…というのもですね、こちら、観光施設ではなく市の文教施設なのです。ホームページを見る限り、教育委員会文化課が減免措置などを担当してるようなのですが、ともかく商売っ気がない。
施設は徹底した低コスト運営の方針と見られ、華美な物は一切なし。
利休の茶室のように、削ぎ落とされた
禅を感じさせる施設です。
なんせ、建物に入ると、いきなり巨大アンモナイトの化石が陳列されている。
オードブルでメインディッシュが出てきた感じです。ドアから入って50cmで、これ。
そして展示品は、以上になります。え!? 終わり!?いや待て、早まるな兄弟。
実はこの施設、「展示品」は飾ってねぇんだよ。
「施設そのものが、アンモナイト」なのだ。
わっかるかなぁ~?わかんねぇだろうなぁ~?
実は、いわき市ちゅー所は、もともと炭鉱の街でした。
私は地学の授業をロクに聞いてなかったので、いまや
モホ面という単語ぐらいしか覚えてないほどに知識レスなのですが、まぁ、簡単に言えば、地質的・年代的に「石炭あるところ化石あり」と捉えておけば良いでしょう。
石炭を豊富に産する所には化石が眠っている、それは、奈良や京都を掘ると
豪族の遺品が出てくるのと同じぐらいの真理であります。
いわきと同じく、炭鉱の街として知られた夕張も、やはり化石が多くみられる土地でした。
そのため、夕張にある
「石炭の歴史村」にも、化石館が併設されてんのな。問題は、夕張の場合、入場料が1200円かかるという点。もちろん、1200円というのも別に高くはないのですが、
80円(さらに減免措置あり)を見てしまうと、もはや
シャイロックのような商いに思えてきます。
ちなみに私が行った時は
夕張市の破綻直後でして、広大な敷地に客は自分1人、職員さんが8名ほどおり、マンツーマンどころか「こちらが坑道の入り口でして」「これが出土した化石です」「こちらは地元のメロンを使ったゼリーでして…」と皆さんが俺1人を接待し、こちらは
「ああ、そう」と答えながら見て回るという
、陛下の行幸のような有様になっておりました。
そりゃ破綻するわ。一方、
いわき市アンモナイトセンター。こちらは徹底したコストカットを実施しておりました。
まず、
床がありません。
これは何かっつーと、
「アンモナイトたくさん出てきたねぇ」
「うむ。となると、保存しなきゃイカンねぇ」
「じゃ、上に建物を建てるべ」
「だな。床なしで柱を立てて、壁と屋根くっつければいいべ」
という話だそうで。
まるで
ソ連の兵器のように、目的とする機能を満たす事だけを念頭に、どこまで無駄な物を削ぎ落とせるか追求した
引き算の合理性と言えるでしょう。
「この地層をデジタルデータで保存して、館内で3D映像としてバーチャルな体験を」とか、そういうの要らない。「アンモナイト出てきたぞ!この地層凄いぞ!」「じゃ、柱だけ立てて壁と屋根乗っけるべ。そうすりゃ資料館っぽくなるだろ」と床の無い建物を作る、
いわき力は今後の日本に必要な能力ではないかと思われます。
で、実際に見てみると、すげぇ数のアンモさんが、むき出しの地層に散りばめられております。
①②と解説の札が置かれているのですが、あまりにも数が多いので、
猟奇殺人の現場検証のような光景。

また、館内には、アンモナイトの情報しか調べられない
アンモナイト専用検索機も設置してあり、「調べたきゃ、お前が勝手に調べろ」というDIY精神に基づく展示が為されております。

で、私がアンモナイト専用検索機でポチポチやっていると、建物の外から子供たちの声が。
はて、何だろう…と出てみたら
掘ってました。
こちらの施設、土日(第三日曜日は除く)に行くと、体験発掘っちゅーのをやってるのですな。どこを掘るかと言うと、先ほどの建物が建ってる場所と同じ地層でして、
「この斜面はアンモナイトだらけだねぇ」
「じゃあ建物を建てよう」
「斜面全体を覆う建物を建てるのは大変だねぇ」
「じゃあ掘らせよう」
という、
いわき力あふれる発想で、掘らせてくれるのです(入場料のみ)。
ヘルメットや発掘道具は貸してもらえるそうで、自分で持って行くのは軍手ぐらい。しかも、
バンバン出てくるのよ。
施設の人が「あー、これは貝だね~。ホラ、二枚貝になってるでしょ」と解説してくれる。
なかなか良い体験が出来るスポットやな、と。
なお、屋外で発掘作業などを行うにあたり、施設は毎日モニタリング数値を貼りだしております。

館内にはバックナンバーというか、これまでの測定結果一覧も貼ってある。

これは、来場者の安心「感」を担保するために、キッチリやろうという姿勢なわけですね。
先に立ち寄った小川キノコ園も、
こうやって徹底的にやっているわけで、地元の人のこうした姿勢に対し、「地面を水洗いしてから数値を出している」とか言ってる方は何を考えてるのかよく分かりません、毎日アンモナイトを水洗いするの?

↑
クリック不要ま、そんなわけで、化石王国・いわきの魅力に取りつかれた私でありますが、どうも、いわきはアンモナイトなんぞより遥かに大物の恐竜と縁があるらしく……その名は
フタバスズキリュウ。
アンモナイトセンターから車で5分、太古のロマンを感じる恐竜の里へ!
その辺は次回、「
いわき見聞録9 この施設、どうしてこうなった ~責任者出て来い~」にて!
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……さて、汝ら。
これで終わったとでも思うたか。フォッフォッフォ…
実はですね、
小川キノコ園の社長夫人と相談しまして、もっと日本を、エリンギらせようと。
今ひとつ俺自身も、エリンギれてないし、お前たちもエリンギるべきだと。
そんなわけで、本日から始まります新コーナー。
その名も
「立ち上がれ、俺のえりんぎ」というね。
俺だけのジョンソンを、俺だけのピーターを雄々しく育てて、どこに出しても恥ずかしくない(上野駅13番線ホームなど)最高のエリンギが生育するまでのドキュメントを披露しようって算段さ。
初日の今日は、
培地づくりから始めてもらったぞ!
①全ての土台となる
「培地」を作っているところ。
オガ・ふすま・米糠などを機械で混ぜ合わせ、
キノコの菌を植える畑=培地にするのだ!
【追加情報@6.05】
いま、米糠は使ってないそうです ↓

②機械で培地をビン詰め。
いわゆる
『仕込み』の過程だ。
↓
③見よ、これが
「俺のエリンギ」を育てるビンだ!
仕込みはバッチリ、ここに、いずれ立派なジョンソンが育つのさぁ!
↓
④仕込み済みのビンを、このあと
『殺菌』。キノコと関係の無い菌を無くすのである。
↓
⑤殺菌釜にビン(培地)を入れるところ。
作業しているのは、
酔狂な企画につき合わされた気の毒な従業員通常作業を抱えつつ、わざわざ俺のもやってくれる、意欲に満ち溢れた従業員・
シヴァさん。
この釜の中で
6時間かけて高温殺菌した後、エリンギの菌を植えるのに最適な温度(20度)になるまで、専用の部屋で熱を逃がす。この
『放冷』には、一晩を要するのだ。
↓

一日目の作業過程は、ここまでだ。
なんせ俺のエリンギだ、さぞかし雄々しく逞しく育つに違いない。
がんばれ小川キノコ園、がんばれ俺のエリンギ!
鳥取から、
えりんぎちゃんも応援してるぞ!

↑
応援どころか、明らかに寝ている
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